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【本のご紹介 vo.125】『サーバントであれ ― 奉仕して導く、リーダーの生き方』

『サーバントであれ ― 奉仕して導く、リーダーの生き方』
ロバート・K・グリーンリーフ(著) 野津智子(翻訳)/英治出版

先日、グーグル社で実施された生産性向上プロジェクトにおいてある分析結
果に関する記事が発表されました。
※記事の詳細は下記を参照ください。
 『グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ』
(「現代ビジネス」より)
  ⇒ http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48137

 分析の結果、生産性の高いチームにはある特徴が見つかりました。それは
「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といった安らかな雰囲気が
チーム内で自然と育まれているとのこと。

 では実際にどうしたらそのような雰囲気を組織内で作り出せるのでしょうか。
 その一つのヒントとなりそうなのが、本書で取り上げられている「サーバン
ト・リーダーシップ」という考え方です。

 サーバントとは奉仕という意味で、リーダーシップとは相反するような言葉
ですが、本当のリーダーシップとは従業員や顧客、コミュニティーを含めた他
者の役に立つことを最優先に考えるものだといいます。

 奉仕がしっかりできているかどうかは、奉仕を受けた人が成長し、その人自
らサーバントとして周囲のコミュニティーなどに自主的に働きかけるような変
化を遂げているかどうかで明らかになります。

 本書の内容は数十年前に書かれた小論を編集されたものですが、特定の人に
寄らず、「ビジョン」をリーダーにして、お互いが奉仕し合う組織づくりなど、
今の社会だからこそタイムリーな内容だと感じました。
 
 サーバントの考え方は、組織のなかで自立の輪の広がりを自然に作っていく
雰囲気づくりに重要な役割を果たしそうです。
 これからのリーダーシップのあり方を改めて考えさせられる一冊です。   

【本のご紹介 vo.124】『ファシリテーション・ベーシックス ―組織のパワーを引き出す技法』

「ファシリテーション・ベーシックス ―組織のパワーを引き出す技法」
堀公俊(著)/日本経済新聞出版社

「ファシリテーション」に関する手法やツールを紹介する本も多数出版され
るようになり、言葉としても身近なものになってきました。

 一方で、ファシリテーターを実際に務めることは難しい、敷居の高いという
イメージも持つ人も多いように感じます。

 本書中でファシリテーションを料理に例えて説明されていますが、その時々
のメンバーや環境といった場(=素材)の組み合わせによって、手法やツール
(=レシピ)を工夫したり、場合によってはメニューをガラっと変えたり、想定
外のことにも対応することがファシリテーター(=料理人)に求められます。

 そこで必要となるのは、今ある素材でレシピを柔軟に判断して調理する、料
理人としての腕、つまり場を進行・促進させるためのスキルです。

 ファシリテーションは知識ではなく、智恵だといいます。智恵をつけるには
経験を積むことが必要ですが、本書ではやみくもに試すのではなく、経験を効
果的に積むためにファシリテーションの基本の4つの型を覚えることを提案さ
れています。

 4つの型の内容を、初級・中級・上級に分けて解説されており、読んでみる⇒
現場で実践してみる⇒次のステップに進む、という流れで学ぶことができます。

 また、ファシリテーションの現場でよく使われる台詞や、現場でのでのファ
シリテーターの心の動きが解説されており、リアルな場面をイメージトレーニ
ングできます。

 マネジャーや人材育成を担当されている方にも、組織内の効果的なコミュニ
ケーションのあり方の参考になると多いように感じました。

 ファシリテーションを初歩から学びたい方はもちろん、日頃ファシリテーター
を務める機会が多い方にも拠り所となるような、心強い一冊です。

【本のご紹介 vo.123】『オトナ相手の教え方』

『オトナ相手の教え方』
関根 雅泰(著)/クロスメディア・パブリッシング

 いつの間にか教える立場になって、自分の経験則に基づいて教えるものの、
うまく伝わらない…

 教える立場になって初めて、効果的な教え方を学んでこなかったことに気づ
きます。特に様々な経験を積んでいる大人相手となると、教え方も一筋縄では
いかないものです。

 本書では教え方の本質として「相手の立場に立つ」「学習の手助けをする」
という2点を挙げ、その本質に基づいた教え方を実践するポイントを解説され
ています。
   
 教え方のポイントのうち、特に重要な点として「教える前に経験・知識の度
合いを確認すること」と、「一人で教えない」という2点が印象に残りました。

 まず一方的に説明する前に、相手の経験や知識の度合いを確認することで、
相手の経験してきたことや学んできたことを尊重する姿勢が伝わり、教わる側
が素直に受け入れる準備ができます。

 2点目の「一人で教えない」は、教えたくても時間がない、業務内容が複雑で
教えるのが難しいといった教える側の抱える「時間と内容」の課題を、一人で
教えることを抱え込むのではなく、周囲を巻き込むことで解消できるというも
のです。具体的な方法としては、職場の「人脈マップ」を作成し、どんな人に
どんな形で協力してもらうのかを明らかにするといった方法が紹介されていま
す。

 教える側が陥りやすい問題に対しての対策だけでなく、あらためて「教える
こと」のもたらす教える側のメリットもまとめられています。

 教えるということに対し、少し肩の力を抜いて取り組むヒントが得られる一
冊です。

【本のご紹介 vo.122】『「経験学習」ケーススタディ』

『「経験学習」ケーススタディ』
松尾 睦(著)/ダイヤモンド社

 ある調査によると、人の成長を決定する要因は仕事経験を通した学びが7割
を占め、他者からの学びが2割、読書・研修からの学びが1割とのこと。

 しかし、人はただ経験しただけで成長するのではなく「経験から学ぶ力」を
身につける必要があり、「経験する⇒振り返る⇒教訓を引き出す⇒新しい状況
へ応用する」という経験学習のサイクルをいかに回すかが重要だといいます。

 本書は、経験学習の原理原則をまとめられた『「経験学習」入門』(2011年
出版)の続編として出版されたものです。

 本書では『「経験学習」入門』から、経験学習についての基本的な考え方を
紹介したうえで、具体的に企業でどのように経験学習が導入されているのか、
どのようにして経験学習を取り入れたらいいのか、方法論や仕組みについて9
つの企業の事例を取り上げて解説されています。

 本書の面白いところは、先行事例の企業を紹介した後、その先行事例を取り
入れようと奮闘する企業の事例を紹介しているところ。

 自社の状況に合わせた経験学習サイクルを試行錯誤しながらデザインしてい
く様子が非常にリアルで、これから取り組もうとするときの参考にもなります。

 各企業の事例を見ると、定期的な個人面談の導入など多くの企業でも取り入
れられているようなベーシックな取り組みが主です。

 取り組み自体を一旦取り入れることは簡単かもしれませんが、いかに形骸化
させず、組織の中で定着させて、効果へと結びつけていく仕組みづくりができ
るかどうかがポイントだということが事例からわかります。

 組織活性化、新入社員の育成、新人と中堅・マネジャーが共に育つ「共育」
関係づくりといったキーワードが気になる方にはおすすめの一冊です。

【本のご紹介 vo.121】『6つの帽子思考法-視点を考えると会議も変わる』

「6つの帽子思考法-視点を考えると会議も変わる」
エドワード・デ・ボーノ(著) 川本英明(訳)/パンローリング

 ものを考えるとき、私たちは多くのことを一度に考えてしまい、頭の中が整
理できなくなることがあります。

 それは会議の場も同様で、意見が多岐にわたって収集がつかなくなることも
あれば、逆に視点が凝り固まってしまい、場が停滞することもあります。

 それらの問題を防ぐためには、ものを考えるときには一度に一つのことを考
えるようにすること、一つの視点で考えた後にまた次の一つの視点に切り替え
て考えるようにすることが有効であるといいます。

 その考え方をベースにして、便利に使えるようにしたものが「6つの帽子メ
ソッド」(並行思考)です。

 白い帽子…客観的な事実とデータに基づく視点  
 赤い帽子…思ったままの感情的な視点
 黒い帽子…警戒と注意を促す、弱点への視点 
 黄色い帽子…肯定的な側面への視点
 緑の帽子…創造性と新しい考え方の視点
 青い帽子…プロセス全体を構成する視点

 あるテーマについて「常に全員が同じ視点」から見ることでお互いの意見を
同時並行的に考え合わせることができるだけでなく、異なる6つの考え方の
帽子を被りかえることで多面的な検討もできるというのが6つの帽子メソッド
のポイントのようです。

 メソッド自体とてもシンプルで使い方も簡単で取り入れやすいですが、本書
ではさらに効果的な使い方も事例を交えて紹介されており、実践的です。

 会議の場をもっとおもしろく創造的な場に変えてみたいとお考えの方のみな
らず、マネジメントや対人支援に関わる方にもおすすめの一冊です。  

【本のご紹介 vo.120】『システム思考をはじめてみよう』

「システム思考をはじめてみよう」
ドネラ・H・メドウズ(著) 枝廣 淳子(訳)/英治出版

 “問題は、つながっている。解決策もつながっている。”

 システム思考とは、「つながり思考」とも紹介されていますが、ものの背後
にある構造を、ありのままに見ることで、物事のつながりをたどって全体像や
構造を見る考え方のことです。

 従来の経験や考え方が通用しない、新しい変化が次々と起こる時代を生き抜
くために最も大事なことは、「従来の経験や考え方から自由になる」こと。

 「従来の経験や考え方から自由になる」こととは、「自分(たち)の思い込
みに気づく」ということ。経験や実績を積めば積むほど思い込みに気づくのは
難しくなるのかもしれません。

 では思い込みに気づくためにどうしたらいいか、カギとなるのがシステム思
考だといいます。

 システム思考を活用して、今まで気づかなかった、意識していなかったつな
がりを明示的に表すことで、問題の全体像が把握でき、効果的な働きかけを考
えることができる。さらに働きかけがどう影響するかも予測して対応策を考え
ることができるとのこと。

 本書では、著者が残した様々な組織や産業、環境問題などの事例を盛り込ん
だエッセイを通じて、システム思考的なものの見方や考え方が紹介されていま
す。

 システム思考の具体的で身近な活用法として「フィードバック」が紹介され
ています。自分の行動がどうつながったのか、生み出した結果をありのまま都
度振り返る機会を作ることが、物事の全体像をつかむ第一歩のようです。

 変化に惑わされず、物事の本質をつかむ。新年に読んでおきたい一冊です。

【本のご紹介 vo.119】『モチベーションの新法則』

「モチベーションの新法則」
榎本博明(著)/日経文庫

 「モチベーション」というと、いわゆる精神論や、個人の成功体験を紹介す
るものが多いイメージがあります。

 またモチベーションに関する理論についても、時代が変化しつつあるなか、
今の時代に合ったものなのか、そもそも欧米から入ってきた理論が多く、日本
人にとってしっくりくるものなのかどうか、検証が必要な時期なのかもしれま
せん。

 本書では、心理学の最新の研究に基づいたモチベーションに関する理論を紹
介しながら、個人の成功体験に頼らずどんな個人や組織にも活用でき、なおか
つ日本人の特徴に合ったモチベーションについて述べられています。

 ・ほめて育てるということが流行っているが、思わぬ落とし穴がある…
 ・普段のちょっとした声かけが効果があるが、そのコツは…
 ・内発的動機づけがますます重要になると言われているが、外発的動機づけ
  も再評価されつつある…
 ・目標設定は業績目標と学習目標という視点で考える…
 ・無意識の知覚がモチベーションに関係している…

など、モチベーションを高める方法としてよく言われる内容から新たな視点ま
で、どういった根拠で必要なのか、逆に効果がない場面はどんな時などのポイ
ントが解説されています。

 個人的には「こうすればうまくいくとわかっているのになぜできないのか」
ということを取り上げた章が身につまされることも多く、早速取り組んでみた
いことも発見できました。

 本書中で、日本人ならではの組織のモチベーションの特徴を「監督を男にし
たい」モチベーションと言い表されています。そんな関係性を重視する特徴を
活かしつつ、新しい理論を組み合わせていく。これからモチベーション・マネ
ジメントについて学ぶことのできる一冊です。

【本のご紹介 vo.118】『ダイアローグ・マネジメント 対話が生み出す強い組織』

『ダイアローグ・マネジメント 対話が生み出す強い組織』
 ケネス・J・ガーゲン ロネ・ヒエストゥッド (著)
 伊藤 守 (監修, 翻訳)  二宮 美樹 (翻訳)

 最近、「対話」について様々なところで取り上げられるようにな
りました。

 コミュニケーションの概念が、単純に聞く・話す・伝えるという
ものから、多種多様な知識や考えを組み合わせたり、つなげたり、
調整するスキルに変化してきているなかで、「対話」の重要性がま
すます高まっているといえます。

 対話の必要性についてはある程度分かっていますが、では組織の
現場で、どのように対話を活用すればいいのか、どう生み出してい
けばいいのでしょうか。

 本書では、対話を行う能力だけでなく、対話に参加しながらも、
対話で「何が起きているのか」に気づくために、展開中の会話を自
分の内側でモニター(監視)する能力を養うことに着目しています。

 組織といえば、よく「機械」と比喩して捉えられ、個人を歯車の
一部のような表現をされていますが、本書では組織を「水」として
捉えた見方にシフトすることが現代の環境に最も連動しているので
ないかと言います。

 絶え間なく流れ続ける水のように、周囲の環境や社員と「合流」
しながら作られているものが組織。共に流れる様子を観ながら、調
整していくプロセスが対話だという例えは、対話のイメージとして
とても分かりやすく感じました。

 対話の在り方についてあらためて考えさせられる一冊です。

【代表者コラムvol.143】『ますますベーシックが求められる時代に』

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◇おかもと通信-『ますますベーシックが求められる時代に』

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 10月に入り、新しい事業やプロジェクトのお話をいただいております。

 初めての役割を担うものだったり、今の私にはちょっと背伸びが必要
な仕事もあり、緊張が続く日々です。

 新しいことに取り組むとなると、新しいスキルや知識も必要ですが、
実はベーシックなことが重要だと気づかされます。

 たとえば対人的な支援であれば、対象となる人のバックボーンがどん
なに変わってもベースとなることは信頼関係の構築であることは共通し
ています。

 変化が激しいことが当たり前になりつつ世の中ですが、そんな世の中
だからこそ自分自身のベーシックなチカラが試されるような気がします。

 バタバタしているときだからこそ、秋らしくちょっと落ち着いて自分
のベーシックなところに目を向けてみたいと思う今日この頃です。

             
(アール・キャリア・スタジオ代表 岡本 耕平)