【本のご紹介 vo.115】『とりあえず志向とキャリア形成』

「とりあえず志向とキャリア形成」
 中嶌 剛(著)/日本評論社

 
 日本の若者は安定志向が強まっている、就業意識が多様化している
と言われますが、それを象徴するのが若者を中心に広がる「とりあえ
ず志向」。

 価値観が多様化する社会で、生き方・働き方の選択の幅も多様化し
ています。選択肢が増えることはいいことですが、実はたくさんの選
択肢からなぜこれを選ぶのかという理由を必要とされる状況が、生き
づらさにつながっているとのこと。

 どちらかというと曖昧でどっちつかずな印象のある「とりあえず」
という言葉ですが、日本人の気質に染み込んだ行動特性であり、生き
づらい社会で不安を減らし気軽に一歩を踏み出すためにはむしろ活用
すべきだといいます。

 本書では、「とりあえず志向」の実態について、国内外のデータお
よび著者による独自調査を織り交ぜながら考察し、後半では実際に
「とりあえず志向」をキャリア形成や社会活動の中で活かすための方
法について述べられています。

 さらに各章の終わりにはコラムが紹介されています。なかでも印象
に残ったコラム「曖昧ことばの事例検討」から小学生作文の一部分を
ご紹介します。
 
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「めんどくさいなあ」の後は、「やらなきゃな」と思っているのです。
この「めんどうくさい」があるから、やらなきゃなという気持ちで宿
題ができる。明日の準備ができる。今、こうして作文を書いている。
「めんどうくさい」という言葉は、わたしの場合、「頑張ろう」とい
う言葉と同じものという気がします。だから、わたしは「めんどうく
さい」と思うと、なんだかやる気がでて、やらなきゃな!と思うのです。
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 「とりあえず」も物事を強すぎず弱すぎず“いい加減”に捉えて、
次の行動を軽くするのには最適な言葉といえそうです。