【本のご紹介 vo.131】『採用学』

『採用学』
 服部 泰宏(著)/新潮選書

 2016年卒の採用スケジュール変更から始まり、2017年卒のスケジュールも再変
更と、新卒採用を取り巻く環境は揺れ動いています。

 それに伴い、各企業の採用活動にも戸惑いや混乱もある一方で、この機に自社
の採用を見直し、独自の工夫で採用活動を展開するなど新たな動きも見られます。

 日本で行われている採用活動の大半は、経験と勘に頼りがちで、効果的な見直
しができていないといいます。では自社の採用についてどう見直し、自社に最適
の採用活動を展開できるのでしょうか。

 本書では、経験や勘に頼らず、「ロジック」と「エビデンス(データに基づく
根拠)」をもとに自社の採用を見直し、再構築する考え方を紹介されています。

 例として採用を検討する際にどの能力を重視するのか、採用基準をどう設定す
るのかという場合を見てみます。8割以上の企業では口頭でのコミュニケーショ
ン能力を重視するという調査結果が出ています。しかし心理学のロジックから見
ると、コミュニケーション能力は育成の機会があれば比較的向上しやすい能力だ
といいます。

 採用基準として考えると、入社後に育成可能な能力よりも、自社に必要であり
かつ育成の機会がない・育成自体が難しい能力に着目するほうがミスマッチを減
らすことにつながります。

 また、採用面接時のデータ(エントリーシートや適性検査、面接評価)と研修
など育成の場面の効果測定データ、人事評価のデータ、社員満足度調査など、バ
ラバラに扱われているデータを丁寧につないで見ることで、自社に最適な人材の
エビデンスを得られるといいます。

 応募から育成~定着までをシステムで考え、採用の設計しオペレーションまで
を「デザイン」する力が、自社の採用力を決定づけるとのこと。限られた人材を
活かした経営が求められるこれからの時代では、採用をデザインする力はますま
す必要となりそうです。